吉井勇『ゴンドラの唄』

いのち短し、戀せよ、少女、
朱き唇、褪せぬ間に、
熱き血液の冷えぬ間に
明日の月日のないものを。

いのち短し、戀せよ、少女、
いざ手を取りて彼の舟に、
いざ燃ゆる頬を君が頬に
こゝには誰れも來ぬものを。

いのち短し、戀せよ、少女、
波にたゞよひ波の様に、
君が柔手を我が肩に
こゝには人目ないものを。

いのち短し、戀せよ、少女、
黒髪の色褪せぬ間に、
心のほのほ消えぬ間に
今日はふたゝび來ぬものを。



吉井勇(青空文庫

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