HISTORY

長楽館の歴史

長楽館は明治四十二年(一九〇九)“煙草王”と呼ばれた
実業家村井吉兵衛により
国内外の賓客をもてなすための
迎賓館として建築されました。

それから一〇〇有余年。

伊藤博文、大隈重信や山縣有朋など、
明治という時代を彩った人々をはじめ、
これまでにどれだけ多くのお客様をお迎えしたことでしょう。

昭和六一年には建物のみならず、多くの家具調度品を含めて、
京都市有形文化財の指定をお受けしました。

お客様が長楽館でお茶をされるとき、
あるいはレストランでお食事をされるとき、
そのテーブルは文化財に指定されているものかも知れません。
その椅子は、かつて西園寺公望が煙草をくすぶらせていたもの
かも知れません。

「賓客をもてなすための迎賓館」
これまでも、これからも、“長い楽しみ”を皆さまに
ご提供いたします。

  • 京都圓山 長樂館 村井別邸

    京都圓山 長樂館 村井別邸

  • 長楽館表門(竣工当時)

    長楽館表門(竣工当時)

  • 長楽館表門(現在)

    長楽館表門(現在)

  • 公爵伊藤博文題 扁額

    公爵伊藤博文題 扁額

  • 公爵伊藤博文題 扁額(現在)

    公爵伊藤博文題 扁額(現在)

長楽館の歴史 日本史年表

1891年 明治24年

村井吉兵衛が、日本初の両切り紙巻きタバコ「サンライス」を発売。

第1回衆議院議員選挙が行われる。
第1回帝国議会が開かれる。
教育勅語が発布される。

1894年 明治27年

村井吉兵衛が、両切り紙巻きタバコ「ヒーロー」を発売。
ユニークな宣伝効果もあり大ヒット銘柄に。

日清戦争が起こる(~1895)。
陸奥宗光が治外法権(領事裁判権)
の撤廃に成功。

1900年 明治33年

「ヒーロー」パリ万国博覧会で金賞。世界的水準をゆくたばこだった。

治安警察法が出される。
社会運動や労働運動の取りしまり。
幸徳秋水ら社会主義者が厳しく
処罰される。

1904年 明治37年

村井吉兵衛の別荘として、長楽館の建設に着手。
設計・監督:アメリカ人技師 J.M.ガーディナー
清水満之助(棟札)

内装装飾:東京杉田商店・京都河瀬商店
村井吉兵衛が村井銀行を設立。

村井吉兵衛

日露戦争が始まる(~1905)。

1905年 明治38年

長楽館、戦争(日露戦争)のため一旦工事中止。

ポーツマス条約が成立。
夏目漱石が「吾輩は猫である」
を発表。

1907年 明治40年

長楽館、6月に棟上。
地上3階、地下1階の建物は完成間近。
村井吉兵衛はこの年、帝国製糸を設立した。

3月29日 夏目漱石の日記に、長楽館建築中の様子が登場
(漱石全集第13巻)。

日仏・日露条約が成立。

1908年 明治41年

高木背水(たかぎはいすい)に、
長楽館の壁画を依頼(1階迎賓の間の壁画)。

高木背水

日米紳士協約が成立。

1909年 明治42年

長楽館、5月に竣工。
伊藤博文「長楽館」と扁額に揮毫。

5月25〜27日 韓国統監 伊藤博文、桂小五郎(木戸孝允)の
墓参に入洛・来泊。

27日には井上馨(いのうえかおる)、渡邉昇、杉孫七郎、
菊池京大総長(菊池大麓)らを招いて宴を催した。

6月11日 前アメリカ副大統領フェアバンクス氏来泊

10月7日 「雅会」が開かれる
西園寺公望、住友吉左衛門、鈴木松平が主客であった。

10月 九鬼隆一男爵来泊

伊藤博文

西園寺公望

菊池大麓

井上馨

東京両国に国技館が開館。

伊藤博文が満州のハルビンで、
朝鮮の青年に暗殺される。

1910年 明治43年

4月26日 清国皇族載濤・溥洞両殿下来泊
5月 大隈重信夫妻、高田早苗来泊

大隈重信

韓国を併合する。
石川啄木が「一握の砂」を発表。

1914年 大正3年

長楽館 3階和室改造
外部ガーディナー、内部大島盈株の設計
清水組京都出張所施工

第一次世界大戦が起こり、
日本も参戦する。

1915年 大正4年

11月 大正天皇ご大典に際し、
ロシア国特派大使ニコラス・マレヴスキー=マレウイッチ、
イタリア国特派大使グイッチョリ夫妻来泊

ジェームズ・マクドナルド・
ガーディナー

中国に21か条の要求を出し、
満州へ手をのばす。
芥川龍之介が「羅生門」を著す。

1916年 大正5年

1月1日 宇野子夫人死去

1月23日〜26日 ロシア国大公ゲオルギー・ミハイロヴィチ殿下来泊
3月22日 閑院宮智恵子妃殿下、春仁王寛子、華子両女王の
3殿下御合泊

10月22日 李王殿下、ベデー博士一向御台臨

村井宇野子

1916年 大正5年

日野西資博子爵の令妹 薫子(山茶花局)と再婚

6月13日 加陽宮大妃殿下、久邇宮多嘉王、同妃殿下御台臨
6月14日 村雲尼公来臨

ロシアでソビエト政権が成立。

1918年 大正7年

7月1日 英特使コンノート殿下来泊

富山に米騒動が起こる。
原敬内閣が発足。

1919年 大正8年

長楽館、設備等が一部改修。

村井吉兵衛 本邸「山王荘」が東京赤坂山王台に完成(武田五一設計/現在は比叡山延暦寺に移築)

武田五一

パリ講和会議が開会される。

1920年 大正9年

5月7日 英国大銀行家ヴァンダーリップ氏夫妻及び御令嬢来泊。

6月20日 ルーマニア皇太子カロル・カライマン御来泊。

国際連盟に加入し、常任理事国になる。
戦後の経済恐慌が起こる。
第1回メーデーが行われる。

1922年 大正11年

英国皇太子ウェールズ殿下(エドワード8世) 国賓として御来朝の折に、御台臨。

エドワード8世

1925年 大正14年

米国ロックフェラー氏来泊。

ジョン・デイヴィソン・
ロックフェラー・シニア

普通選挙法が成立。
治安維持法が定められる。
ラジオ放送が始まる。

1927年 昭和2年

長楽館、売却 村井銀行閉鎖。

1928年 昭和3年

本邸を比叡山延暦寺大書院として東京から移築。

1954年 昭和29年

土手富三、長楽館の土地・建物を購入。
株式会社長楽館(設立当時の社名=株式会社ホテル長楽館)設立。

1965年 昭和40年

長楽館の隣接地にレディースホテル・レストランを建設・開業。

大韓民国と国交回復。
朝永振一郎がノーベル物理学賞を受賞。

1968年 昭和43年

本館にて喫茶店開業。

1986年 昭和61年

長楽館、京都市指定有形文化財登録。
多くの調度品と共に京都市有形文化財に指定される。

2008年 平成20年

ホテル棟リニューアル。 本館にフレンチレストラン「ルシェーヌ」、新館にバンケットルーム「コーラル」がオープン。

コーラルの天井に木村英輝氏によって650羽のハトの壁画「LOVE DOVES」が描かれる。

北海道・洞爺湖サミットが開催。
麻生内閣が発足する。

2009年 平成21年

長楽館、築100周年。

木村英輝氏によって、ホテル棟1階に5羽のクジャクの壁画「Darling Peacock」が描かれる。

裁判員制度が始まる。
衆議院総選挙で民主党大勝。

2011年 平成23年

本館ロビーにピアノ(ベイゼンドルファー1955年製)が設置される。

東北地方太平洋沖地震が発生。

2012年 平成24年

庭師北山安夫氏によってコーラルの南面にテラスが作庭される。

東京スカイツリーが開業。

2013年 平成25年

「京都を彩る建物や庭園」として京都市から認定される。

ヒマラヤスギとヒロハノナンヨウスギが、京都市東山区の「区民の誇りの木」に認定される。

2020年夏季五輪、パラリンピックの
開催地が東京に決定。

2016年 平成28年

長楽館リニューアル。
長楽館カフェを一新し、「デザートカフェ長楽館」に。
「長楽館ブティック」「ライブラリーバー マデイラ」がオープン。

リオデジャネイロでオリンピック開催。

2019年 平成31年
令和元年

長楽館 築110周年

天皇交代、元号が「令和」に

2024年 令和6年

10月18日 長楽館(旧村井家別邸)、国の重要文化財指定への答申がなされる。