SEASONAL
JOURNAL
SPRING 2024

ステンドグラス ステンドグラス

CHOURAKUKAN LEGACY

装飾

ステンドグラス

長楽館が竣工した明治の末頃、海外よりステンドグラス制作技術が伝わり、日本でもステンドグラスの制作が開始されました。長楽館に飾られているステンドグラスの一部は、日本初のステンドグラス工房 宇野澤ステンド硝子工場にて作られたものと考えられています。
普段ご覧いただけないお部屋に飾られているステンドグラスを含めてご紹介いたします。
水辺と木々のステンドグラス[1階球戯の間]

現在はカフェの一室「球戯の間」であり、当時はビリヤード室として使用されていたお部屋の真正面、青々と木々や緑が映えるステンドグラスがございます。
こちらは当時は上層階にあった純日本風の浴室に設置されていたもので、後世この場所に移動いたしました。

羊飼いの少女のステンドグラス[中2階喫煙の間]

村井吉兵衛は煙草製造業で財を成し「煙草王」と呼ばれた実業家でした。それを物語るように、館内の中央に当たる場所に喫煙室が位置しています。
喫煙室は現在はカフェ(禁煙)となっていますが、羊飼いの少女が描かれたステンドグラスは当時と変わらずこの部屋の扉に飾られています。室内の上部にもまたステンドグラスがはめ込まれており、少しだけ扉を開くと、羊飼いの少女が遠くの城を眺めているようにも見えます。

海辺のステンドグラス[1F女性お手洗い]

当時は待合室として使用されていた一室を、お手洗いに改装しています。 このお手洗いに飾られた明るい空と海、そしてヨットと海鳥が描かれたステンドグラスは元々は上層階の浴室に飾られていたものです。
迎賓館として使用されていた長楽館には、ゲスト用の浴室も複数設けられており、それぞれにステンドグラスが飾られていました。

水辺のステンドグラス[2階バックヤード(非公開)]

当時浴室として使用されていたお部屋、現在のカフェのバックヤードにも水辺が描かれたステンドグラスが残ります。こちらは当時のまま、正面玄関の真上にあるお部屋に飾られています。
大きく描かれた白鳥と、奥に描かれている水鳥は鴨でしょうか。 水辺で優雅に泳ぐ鳥たちと共に過ごすような心持でバスタイムを過ごされていたのかもしれません。

桜と紅葉のステンドグラス[中3階長楽庵(通常非公開)]

向かって左には春の桜、右には秋の紅葉。日本の美しい季節が西洋の技術をもって描かれ、和と洋の調和が図られています。特筆すべきは、このお部屋が当時茶室として使用されていたということです。
当時この場所で茶会に参加された方は、ほのかに障子を染める色硝子の美しさにきっと心奪われたことでしょう。